【医師が解説】献血にダイエット効果はあるのか?

ダイエット法

献血とダイエット

先日、インターネットで「献血をすると痩せる」という情報を目にしました。

果たして、本当に献血にダイエット効果はあるのでしょうか?

今回は医師としての立場から献血によって痩せることが可能なのかを、自身の体験も交えながら解説していきます。

なお前提として、この記事では最も多く行われている「400mL(全血)献血」を中心にお話しします。

なぜ献血で痩せると考えられているのか

1つ目の理由は「400mLの血液を抜くのだから、そのぶん体重が減るだろう」という考え方です。
血液の比重はおよそ1.05g/mL。つまり、400mLの献血で約420gの体重が減るという計算です。

2つ目は「献血後に血液を再生する過程でエネルギーが使われ、カロリーが消費される」という考えです。
400mLの献血で約500〜600kcal消費されるという情報もあるようです。

そして3つ目は、ダイエットとは少し離れますが、「献血にはデトックス効果がある」「病気を予防し健康になる」という説です。

以上、これら3点について、医師の視点から詳しく見ていきます。

医師の視点で効果を検証

①献血した分の体重は痩せる?

確かに400mLの全血献血をすれば、そのぶん体重は一時的に減少します。

しかし、献血ルームでは失われた血液を補うために、献血の前後でしっかりと水分補給を行うよう指示されます

そのため、抜かれた血液分の重さは水分で補われ体重は元に戻ります

なお、献血後の立ちくらみや気分不良を防ぐためにも、水分補給を怠ることは避けましょう

②血液の再生でエネルギーが消費される?

血液中には水分だけでなく、糖やタンパク質などの栄養素が含まれています。
そのため、血液を喪失・再生する過程で一定のカロリーが消費されるのは事実です。

しかし、実際には献血後の飲食でその分のカロリーが帳消しになる可能性が高いです。

また、全血献血には年間の回数制限(男性:3回以内、女性:2回以内)があります。

ゆえに、仮に1回の献血で500~600kcal消費できたとしても、年間を通して見ると約1,000〜2,000kcalの消費にとどまり、長期的なダイエット効果はごくわずかです。

③献血による健康効果は?

献血によるデトックス効果や病気の予防効果については、現在のところ明確なエビデンスはありません

血を抜く医療行為として「瀉血(しゃけつ)」という治療法もありますが、これは特定の疾患を持つ患者に限って行われるものであり、健康な人にとってメリットがあるとはいえません

一方で、献血を行うと自分の血液検査結果(7項目の生化学検査、8項目の血球計数検査)無料で知ることができ、健康状態の把握に役立ちます

これらの検査を自費で受けると1万円前後かかるため、費用面でのメリットがあります。

また、献血という行為そのものが、他人を助ける利他的な行動として、自身の心理的な満足感や幸福感を高めてくれる場合もあります。

このように、直接的なダイエット効果は望めなくても、健康面・精神面では一定のプラス効果が期待できるでしょう。

実際に献血を行った感想

私はこれまでに3回、献血を行った経験があります。
また、医師として献血バスで問診医として勤務したこともあります。

ダイエット目的ではなかったため、体重の変化は記憶していません。
ただ、献血後に待機ルームでドリンクや軽食をいただいていたので、むしろその時点では体重が増えていた可能性があります。

問診医として勤務した際にも、ダイエット目的で来られた方はいませんでした。

皆さん純粋にボランティア精神で参加されており、中には50回以上、100回以上の献血経験を持つ方もいて、尊敬の念を抱いたことを覚えています。

総評

総合評価:★☆☆☆☆

「献血で痩せる」という発想は一見魅力的に思えるかもしれませんが、医学的に確かな根拠はなく、ダイエット手段としては推奨できません

続けやすさ:★☆☆☆☆

献血には年間の実施回数や基準の面で厳格な制限があります。

そのため、継続的な方法としては適していません

効果:★☆☆☆☆

血液を失うことによって一時的に体重が減少することは事実ですが、その多くは水分や食事で補われ、短期間で元に戻ります

カロリー消費に関しても、長期的な視点からは体重減少に寄与をするとは言い難いです。

その他:★★★★★

一方、献血そのものは非常に尊い社会貢献です。
献血を通して間接的に心理的な満足感や幸福感が高まる可能性があります。

また、無料で血液検査の結果を受け取れるという点では、自分の健康管理に役立てることもできます

ダイエット目的での献血はおすすめできませんが、誰かの命をつなぐための一歩として、ぜひ積極的に参加していただけたら幸いです。

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