脂肪を便から排出！ゼニカル（オルリスタット）ダイエットとは【総合評価★☆☆☆☆】

※本記事はゼニカル（オルリスタット）によるダイエットを推奨するものではありません。

ゼニカルダイエットとは

ゼニカルダイエットとは、「メディカルダイエット」の一種です。

メディカルダイエットは「医学的根拠に基づき、内服薬や注射などを用いて痩せるダイエット」のことをいいます。

ゼニカル（オルリスタット）は、脂肪分解酵素「リパーゼ」の働きを阻害する内服薬で、脂質の吸収を防ぐことでダイエット効果を狙います。

もともとは生活習慣病を背景とする肥満治療薬として海外で使用されており、日本でも自由診療の場で使われてきました。

2024年には、同じ有効成分を含むOTC医薬品（市販薬）「アライ」が日本で販売開始され、話題になりました。

なお、「ゼニカル」と「アライ」はどちらもオルリスタットを有効成分としています。
「ゼニカル」には120mg、「アライ」にはその半分の60mgが含まれています。

そのほかにも「オルリガル」「オルリファスト」「オベリット」「フォビカル」など、様々なオルリスタット製剤があります。
薬の容量や価格は異なりますが、痩せる仕組みは同じです。

なぜゼニカルで痩せるのか？

ゼニカルは、脂肪分解酵素リパーゼの働きを阻害することで、腸からの脂質の吸収を抑えます。

その結果、食事から摂取した脂質のおよそ30％を便として排出できるといわれています。

では、この作用によってどれほどのカロリーを排出できるのでしょうか？
私自身のケースで計算してみます。

日常的に脂質の多い食生活をしている方であれば、より大きな効果を実感できる可能性もあります。

ゼニカルの副作用は？

主な副作用としては以下のようなものがあります。

• 油漏れ
• 脂肪便、下痢
• 放屁（ガス）
• 腹痛やお腹の張り
• 脂溶性ビタミン不足
• 排便回数の増加

ゼニカルは腸からの脂質の吸収を妨げるため、便に油分が混ざり、油漏れや下痢の原因になります。

また、脂質の吸収を防ぐ過程で、脂溶性ビタミン（ビタミンA,D,E,K）の吸収も妨げるためゼニカル内服中はこれらのビタミンを意識的に摂る必要があります。

ゼニカルダイエットを実践した感想

私がゼニカルダイエットを試したのは、2016年の浪人時代のことです。

当時は勉強ばかりで運動する時間がなく、食べるだけの毎日で徐々に体重が増えていきました。

「楽して痩せたい」という気持ちから、インターネットでゼニカルの存在を知り、個人輸入サイトを通じて購入・実践してみました。

当時の記録は残っていませんが、結果は……

2週間も続けられず失敗に終わりました。

体重の変化もほとんどなかったと思います。

やはり、最大の難点は油漏れという副作用でした。

服用中は、おならのたびにお尻から油が出るという事態に。

便がゆるいときに「おならだと思ったら水便だった」という経験、一度はあるのではないでしょうか？

ゼニカルを飲んでいる間は、毎日がその状態でした。

特に私は過敏性腸症候群の傾向があり、もともとガスが溜まりやすい体質です。

そのため、ゼニカル服用中はおならをするたびにヒヤヒヤしていました。

しかも、出てくるのはただの油ではなく、便を含んだ濁った油。

毎回トイレに駆け込み、トイレットペーパーでお尻を押さえながらおならをするという、非常に不快な生活でした。

さらに、肛門まわりに付着した油を拭き取るのもひと苦労で、何度も拭いているうちに切れ痔気味に。

対策として、尿漏れパッドや生理用ナプキン、おむつなども試してみました。
しかし、これらは水分を吸収するための製品なので、油の吸収力は十分でなく、パンツが汚れることもしばしばあり本当に大変でした。

総評

総合評価：★☆☆☆☆

理論的にはダイエット効果があり、研究でもゼニカルによる体重減少効果が報告されています。

一方で、副作用の不快感が強く、日常生活への影響が大きいです。

続けやすさ：★☆☆☆☆

脂肪を便から排出するという性質上、油漏れや脂肪便は避けられません。

日常生活の中で常に排便やおならに気を使うストレスは想像以上に大きく、継続が難しいです。

効果：★★★★☆（※個人的には評価不能）

海外の臨床試験では、ゼニカルを1年間継続服用した場合、平均6.1kgの減量効果が報告されています。

ただし、私自身は副作用の影響で効果を感じるまで継続できなかったため、評価不能としています。

その他：★☆☆☆☆

他にもさまざまなメディカルダイエットがある中で、あえてゼニカル（オルリスタット）を選ぶ理由は薄いと感じます。

また、メディカルダイエットそのものについても、医薬品の適正使用という点から医師として安易に推奨できません。